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「トゲキッス対策」が引き起こす対面構築化【コラム】

トゲキッス対策」が引き起こす対面構築化

 

 

 

ほぼすべてのポケモンに対して「引き先」は存在し、そうしてダメージレースを競い合うサイクル戦が形成されます。しかしながら現環境に存在するトゲキッスの型は枚挙にいとまがなく、それでいてすべての型が強力で、「完璧な引き」を実現することは非常に困難です。

 

今更確認するまでもないですがトゲキッス受けを困難にする要素を列挙します

 

・ダイジェットによるs関係の逆転

・弱点保険による有利不利関係の逆転

・決して無視できない確率で生じる怯み

・決して無視できない確率で生じる急所

・悪巧みによる強引な崩し

・珠を所持した広範囲高打点

・トリックによる行動制限

・ラムの実によるごまかしの拒否

 

これらすべてを考慮したとき、トゲキッスに対して安定して受け出すことができるポケモンは相当絞られます。

 

モデルケースとして相手のキッスに対してカビゴンをあと投げし、その交代際で悪巧みをつまれるワンシーンを考えてみます

 

このときカビゴン側は+2のダイジェットを一発耐えてあくびによるごまかしを狙う動きを取ることはできますが、搭載率の高いラムの実の存在を考えると相当なギャンブルになってしまうため「解答」にはなりえいでしょう。加えてエアスラッシュによる怯みが無視できない確率で存在し、高耐久のカビゴンといえど常に突破されリスクを負っています。

 

そこでトゲキッスに対して殴り合いを制するためにはダイマックスを切ることが必須条件となります。ここでキッスがここから捻出可能な火力の最大値を考えていきましょう。

 

①弱点保険である場合

 +2ダイジェットと+4ダイジェットを耐える必要がある

②珠である場合

 +2珠ジェット×2を耐える必要がある

③強運ピントレンズの場合

 +2ダイジェット×1.5×2を耐える必要がある

 

①と③は指数が等しく最大値となるので、この耐久ラインを確保できるように調整することが第一関門となります。

それに加えて、少し耐久に振ったトゲキッスをダイアイス(最大打点)と霰ダメ―ジ×2で確定2発に落とし込むことができる火力ラインも確保しなければなりません。

 

この二つの要素を満たすことで初めて「トゲキッスがそのまま居座ってきた場合」の対策が完了したといえます。

 

しかし現実はそう簡単ではありません。この盤面では試合を大きく左右するダイマックス択が存在しています。相手側がカビゴンダイマックスを読んで、裏のクッションポケモン、例えばカビゴンカバルドン、ジュラルドンなどのポケモンに引かれた場合、ゲームのカギを握るダイマックスを十分に有効活用できたとは言えず、しかも次のサイクルからトゲキッスに対処することが難しくなってしまいます。

 

つまりトゲキッスに対する引きを強い一手に仕上げるためには、+2トゲキッスに対して殴り合いを制することができることに加え、裏のポケモンにこちらのダイマックスで負荷をかけることができる必要があり、こうして冒頭で述べた「完璧な引き」を実現させることができます。これらすべてに対処できる動きを確立することができて初めて、トゲキッスに対して引くという行動が可能な構築を作るスタート地点に立つことができるのではないでしょうか。

 

今回の記事では交代際にわるたくみを積まれることを前提していますが、もちろん必ずしも交代際に悪巧みされるわけではありません。悠長できない対面では相手は落としにかかる必要があるので攻撃技に対してタイプ受けすることは可能です。

 

しかしこれは解決になっているように見えて全くそんなことはありません。トゲキッスが悪巧みを積むすきを与えないポケモンのみでかためて構築を組んでいるという前提があって初めてタイプ受けが成立するのです。そうでない場合では、悪巧みを積まれた瞬間確実に一体以上は持っていかれることを引き受けるということを意味します。

 

現状ではこのワンシーンにおいて完璧な回答が出せる構築は非常に少ないのでないかと思われます。だからこそ世の中に存在する多くの構築が対面的な動きを主とせざるを得ないのです。そして対面構築においてはトゲキッスに一方的に不利を取る駒が複数体いることはあってはならないと思います。

 

 

構築を組むうえでまず考えることは、キッスに対して引きという行動を構築内に盛り込むか、そうでないかという意思決定をするところにあると自分は考えています。

 

 

お付き合いいただきありがとうございました

 

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